2月13日 第1回定例会

◆8番(井上ノエミ君) 新しいすみだの井上ノエミです。山本区長と加藤教育長、よろしくお願いします。
 まず、トリフォニーホールについてお伺いします。
 トリフォニーホールについては、昨年11月の定例会で自民党が代表質問で取り上げています。また、これまでも本会議や委員会でたびたび取り上げられています。多くの意見は維持管理にお金が掛かり過ぎる、民営化も含めた抜本的な改革を求めるものです。バブル期のようにお金がたくさんあるときとは違って、現在の墨田区の財政状況では、トリフォニーホールの維持は大変難しいと思います。まして数十億円規模の大規模改修を行うことなどは、とても区民の理解を得ることができないと思います。
 北斎美術館に関しては、葛飾北斎が墨田で生まれた人であり、日本の伝統芸術を国内だけでなく世界に発信する意義があります。また、インバウンド対策としても重要な役割があります。しかし、西洋文化であるクラシック音楽の場であるトリフォニーホールとオーケストラを墨田区民の多額の税金を使って振興していくのは、財政的な観点から限界ではないでしょうか。また、実際にクラシック音楽に関心を持つ区民の数もそれほど多くないと思います。
 現在、日本には33のプロオーケストラがあります。1年間に約3,800回の演奏会が行われて、約425万人が来場しています。日本の成人人口は約1億人ですから、1人1回の割合で計算すると、国民の約4%が演奏会に足を運んでいることになります。恐らく墨田区でもその程度だと思います。また、東京には日本のオーケストラの3分の1である9団体が集中しています。新日本フィル以外にもNKH交響楽団、東京都交響楽団、日本フィル、東京フィルなどの一流のオーケストラがあります。また、音楽専用ホールもサントリーホール、東京芸術劇場、東京文化会館、杉並公会堂などたくさんあり、そこで毎週さまざまな演奏会が行われています。
 人口800万人のニューヨークには、オーケストラはニューヨークフィルしかありません。また、ロンドンでも5団体です。したがって、東京ではあまり数の多くない聴衆を演奏会が奪い合っている状態で、それだけにコンサートホールやオーケストラの運営は厳しい状態だと言えます。また、今後は聴衆の高齢化により、更に厳しくなると思われます。
 トリフォニーホールは墨田区文化振興財団が指定管理者で、ここ数年は議会からの声もあり、経費削減にはいろいろ努力していると思います。とはいっても、来年の予算では4億3,000万円が要求されており、抜本的な改革が行われているとはとても言えません。
 一方、新日本フィルは先週、ここにおいてもコンサートを行うなど、区内の各地でミニコンサートを開いて、地域社会との関係も強化する取組を行っています。ただ、今後も墨田区民だけでトリフォニーホールを維持し、新日本フィルを応援することは大変難しいと思います。例えば地元にオーケストラのない足立区、荒川区や江戸川区にもトリフォニーホールの運営に協力してもらい、一緒に新日本フィルを応援していく。つまりトリフォニーホールと新日本フィルを城東地域の公共財として盛り上げていくことが必要だと思います。
 山本区長は、11月の定例会で「大規模修繕に関しては、30億円を超える可能性もある」「指定管理料の圧縮、大規模修繕に関しては、新たな財源確保の手法を検討する」とご答弁されています。トリフォニーホールの大規模修繕をどうするか。また、今後の維持管理費をどうやって削減するかは、今後、数年間の墨田区政における最大の課題です。
 そこで、山本区長にお伺いします。
 民間の活力を使ってPFI方式を検討することも必要だと思います。コンセッション方式を使えば、トリフォニーホールの運営権を民間会社に委ねて、その会社が融資を受けて大規模改修を実施することになります。そうすると、墨田区民は膨大な改修費を負担する必要がなくなります。もちろん民間会社ですから、赤字が出たら補填する必要があるかもしれません。しかし、もしPFI方式がだめなら、最終的には売却するという覚悟で、ゼロベースで真剣に検討していただきたいと思いますが、区長のご見解をお伺いします。
 また、区民の税金で修繕費を負担することは、現在の墨田区の財政状況から不可能だと思います。また、区民の賛成を得ることはできないと考えますが、山本区長はどのようにお考えかお伺いします。
 次に、交通安全対策についてお伺いします。
 昨年の日本における交通事故死亡者は3,694人で、戦後最少でした。現在、国は交通事故死亡者を年間2,500人以下にして、世界一安全な道路交通を目標にしています。また、東京都も2020年に向けて「世界一の交通安全都市TOKYO」をスローガンにして、交通安全対策を実施しています。このような国や東京都の目標に併せて、是非墨田区も「東京一の交通安全都市すみだ」を目標に掲げて、交通安全対策を充実していただきたいと思います。
 昨年の12月に地元の方が交通事故に遭い、脳挫傷という大変な障害を負いました。自転車に乗って区役所通りを走っているときに、路地から出てきた車にはねられました。私たちの身近な場所でこのような重大な交通事故が起き、被害者の方は大変重い障害を負い、ご家族も大変なご苦労をされています。このような事故が二度と起こらないように、交通事故対策をもっと充実させなくてはなりません。
 以前にも質問しましたが、墨田区では自転車を利用する区民の方が大変多いです。現在はまだ自転車レーンは整備されていないので、歩道では歩行者と自転車、車道でも自転車と車が混在する状態です。自転車が安全に走行できるように、自転車レーンを早急に整備する必要があります。また、自転車が転倒した場合に道路に頭をぶつけて障害を受ける危険があります。ヘルメット着用と未着用を比べると、未着用は事故の際に死亡率が3倍以上になります。
 「東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」では、高齢者と子どものヘルメット着用を求めています。区内でもヘルメットを着用している子どもは見かけますが、まだまだ数は少ないです。高齢者の方でヘルメットを着用している方はいません。ヘルメットの着用を増やすキャンペーンを実施する必要があると思います。
 また、生活道路においては、車がスピードを出しにくい道路構造をつくること、一時停止を必ず守らせるような道路の標識やペンキによる表示を増やす必要もあります。
 この春には全国交通安全運動が行われます。是非、区長自らヘルメットを着用して自転車に乗って、ヘルメット着用の重要性を訴えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 また、墨田区の交通安全対策の充実についてご見解をお伺いします。
 次に、住宅政策について山本区長にお伺いします。
 亀沢の家庭センターの跡地には、現在保育園が建設中です。学童クラブも設置されると聞いています。近くには二葉小学校もありますから、子育てには大変便利な場所になると思います。多くの若いカップルにこの地域に住んでいただきたいと思います。しかし、墨田区の不動産は今大変高く、若いサラリーマンではとても買えません。本所地域のファミリー世帯向けのマンションは4,000万円以上です。中古でも同じぐらいします。4,000万円以下のマンションは築30年以上の大変古い物件だけです。
 それでは、賃貸マンションはどうか調べてみました。亀沢では2DKでも15万円以下の物件は大変少ないです。ワンルームマンションは大変多いですが、ファミリー世帯向けの賃貸住宅は不足しています。墨田区ではワンルームマンションを規制していて、最低面積25平方メートルで、25戸以上のマンションの場合は30%を40平方メートル以上としています。最近のマンションは全て洋室ですから、40平方メートルではリビングと寝室の2部屋しかない物件がほとんどです。カップルで住むにはいいですが、子どもが2人いれば最低50平方メートルないと狭過ぎると思います。
 逆にワンルームに関しては、最近の若い人は料理もしませんから、キッチンもないようなコンパクトマンションが人気です。ワンルームは最低面積は20平方メートルでいいですから、逆にファミリー世帯向けは50平方メートル以上にするのが政策的に目的に合っていると思います。
 家賃は需要と供給で決まります。本所地域の賃貸住宅の実態を調査して、ファミリー世帯向け賃貸住宅の不足とワンルームマンションの供給が過剰であることが分かれば、これからマンションを建設しようとする家主も、ファミリー世帯向けを重視すると思います。是非実態調査をしていただきたいと思いますが、山本区長のご見解を伺います。
 また、住宅に困っている高齢者も多く、家主が貸したがらない実態もあります。23区の中でも積極的に対策に乗り出してきたところもあります。墨田区でも是非高齢者の住宅問題に積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、ご見解を伺います。
 最後に、加藤教育長に英語教育について伺います。
 今年の4月に実施予定の全国学力試験から中学生の調査科目に英語が追加になります。これまで英語が学力試験に入っていなかったのが不思議ですが、今回からは英語の4技能をはかるということで、スピーキングのテストもあります。また、都立高校でも来年度から入試に英語のスピーキングテストを試験的に取り入れることが決まっています。これまでの中学の英語の授業は翻訳と文法の説明が中心で、スピーキングの練習は大変少ないように思います。これではこれらのテストに対応できないと思います。新学習指導要領に沿って、英語の対話や発表を本格的に授業に取り入れていく必要があります。
 加藤教育長は、昨年の11月の所信表明で英語教育の充実をおっしゃいました。今後どのように小学校、中学校の英語の授業を新学習指導要領に沿った形で実施していくのか、具体的な方法についてお伺いしたいと思います。
 以上で、新しいすみだの質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
   〔区長 山本亨君登壇〕

 

◎区長(山本亨君) ただいまの新しいすみだ、井上議員のご質問に順次お答えします。
 最初のご質問は、トリフォニーホールの運営にコンセッション方式を導入してはどうかについてです。
 現在、区では民間活力活用の観点から、昨年度策定した「墨田区PPP/PFI手法導入優先的検討指針」に基づき、10億円以上の費用が見込まれる公共施設の整備等については、PPP/PFIの導入を検討することとしています。
 今後、すみだトリフォニーホールの大規模修繕に当たっては、本指針に基づき、コンセッション方式も含めた民間活力の導入可能性を検討していきます。
 一方、売却については、民間ですみだトリフォニーホールと同規模のホールが運営されている事例は少なく、現段階では難しいと認識しています。
 次に、多額の修繕の負担は区民の賛成を得ることはできないとのご指摘です。
 先の無所属の会すみだの西村議員の質問に答弁したとおり、大規模修繕に向けて、来年度行う予定のコンストラクション・マネジメントにより、効率的な工事と経費の圧縮を図る予定です。その上で、すみだトリフォニーホールがこれまで行ってきたアウトリーチ活動をはじめとする地域貢献事業について広く周知し、区民のご理解をいただけるよう努力していきます。
 次に、交通安全対策についてです。
 現在、本区は「世界一の交通安全都市TOKYOを目指して」のスローガンのもと、警察署をはじめ、地域や関係団体と協力して交通安全運動に取り組んでおり、ここ数年、交通事故発生件数が減少するなど成果を上げています。
 自転車レーンの整備は来年度、区役所通りと北斎通りに自転車レーンやナビマークを設置します。
 また、ヘルメットの着用を増やすために、放置自転車追放キャンペーン等に合わせて、ヘルメット着用の周知を図ります。
 さらに、生活道路においては、警視庁と協力し「ゾーン30」の指定、路面標示や注意喚起看板の設置等を行っていきます。
 今後も、本区における交通安全対策の充実のため、ヘルメット着用の重要性を私自らが訴えるなど、交通安全対策の先頭に立って取り組んでいきます。
 次に、住宅政策についてです。
 まず、ファミリー世帯向け賃貸住宅の確保についてです。
 区内では小規模敷地が多いため、賃貸マンションにおいて、一定面積以上のファミリー向け住戸の供給が少ない状況となっています。事業者が賃貸マンションを計画する際には、需要と供給のバランスのほか、敷地条件や周辺環境、利益率等を総合的に勘案すると聞いています。区はワンルームタイプの住戸が多い現状を認識していますが、こうしたことから、改めて実態調査を行ったとしても、必ずしもファミリー向け住戸の整備誘導につなげることは難しいと考えます。
 引き続き、今後の市場動向を注視しながら、集合住宅条例による良質な住まいの誘導や「すみだ良質な集合住宅認定制度」を通じた、子育て世帯に特に配慮された集合住宅の供給を促進していきます。
 次に、高齢者の住宅問題への積極的な取組についてです。
 区では、これまで公営住宅法に基づく「シルバーピア住宅」や墨田区独自の施策である「高齢者個室借上げ住宅」など、高齢者向けの公営住宅等の供給に取り組んでいます。
 また、来年度からは墨田区版の住宅セーフティネット制度である「すみだすまい安心ネットワーク」をスタートすることとしています。ご指摘のとおり、家主へのインセンティブや負担軽減につながるような仕組みづくりが必要であると考えており、本制度では「家主成約謝礼金」や「少額短期保険加入に係る補助」など、区独自の支援策も整備し、制度の実効性を確保していくこととしています。
 引き続き、高齢者等の住宅確保要配慮者に対する居住支援に取り組んでいきます。
 以上で、新しいすみだ、井上議員の私へのご質問に対する答弁を終わります。
   〔教育長 加藤裕之君登壇〕

 

◎教育長(加藤裕之君) 新しいすみだ、井上議員のご質問にお答えします。  これからの英語教育についてです。  新学習指導要領の外国語科では、小学校、中学校ともに目標の「話すこと」が「やりとり」と「発表」に分けられ、具体的な条件や場面に応じた活動内容が示されており、スピーキングについて重視し「即興で話す」力の育成が求められています。  小学校においては、平成32年度から英語学習が教科化されることを踏まえ、ネイティブ・ティーチャーの配置を充実させ、児童一人ひとりの会話量を増やすことにより、英語教育の充実を図っていきます。  また、小学校担任を対象とした研修では、児童の発話する機会を意図的に設定する指導法等を取り上げ、教員の指導力向上に取り組んでいきます。  中学校においては、東京都教育委員会が示す「少人数・習熟度別指導ガイドライン」に基づき、少人数指導により、生徒一人ひとりの発話量を増やし、ペアワークやグループワークなどの学習形態を適宜取り入れながら、実際に英語を使用してコミュニケーションを図る活動をより一層充実させていきます。  また、入試制度改革等への対応を踏まえ、スピーキングの試験を含む実用英語検定受験を促進していきます。このことに合わせ、就学援助対象の生徒に対しては、受験料を補助することを考えております。  以上で、新しいすみだ、井上議員のご質問に対する答弁を終わります。